途上国支援とNVC
「世界平和は一人一人の心の平和から」
ノーベル平和賞を受賞したエチオピアのアビィ首相のもとでも、残念ながら内紛が勃発しました。ミャンマーやアフガニスタンでも同様に、また長期化するロシアとウクライナの戦争は、政治、軍事外交、開発支援のような外からの働きかけでは限界がきていることが分かると思います。これは現代社会にあり方(Being)の再考、行動する前に精神統一が求められている警鐘のように聞こえます。
NVC創始者マーシャル・ローゼンバーグ博士は、平和構築と自己理解は両輪と唱えています。自分自身が分離したままでは、自分の心の中の痛みや恐怖を外に投影して、他の人々とも分断が生じがちです。自分とつながることで自分を理解、癒し、自分のなかの分裂を統合することで、世の中の見方が変わってきます。また、社会変革が起きる時には痛みが伴うことが多いため、癒しや調停(メディーション)も必要となります。
平和的な変化をもたらすプロセスは、自分自身のマインドセット、すなわち自分と他者をどのように見ているか、そして自分のニーズをどのように満たすのか、を見直すことからはじまります「わかりあえない」を超える マーシャル・B・ローゼンバーグ p24
途上国支援を実施する際には、支配構造ではなくパワーウイズの関係性で互いのニーズを満たすWin-Winの構造になるよう心がけることが必要です。また価値観が違う異文化の中で、無意識なバイアスに気付きながらコンフリクトマネジメントを図ることが重要になります。信頼を醸成し、貢献の喜びから豊かさを分かち合う相互依存型循環社会の構築のためにも、SDGsが目指す持続可能な経済発展の達成のためにも、NVCは重要なツールです。
投稿者プロフィール
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アフリカ・途上国支援アドバイザー、NVCトレーナー、メディエーター、コーチ
米フレッチャー法律外交大学院卒(国際関係)。世界60カ国を渡り歩き、アフリカを中心とした30カ国において人道・開発支援に20年従事。青年海外協力隊に参画後、国連職員として難民に対する食糧支援の夢を実現するものの、移動先で開発支援の現実とのギャップに退職。世界放浪の後、再び国際開発コンサルタントとしてアフリカの現場に戻り、紛争影響国の復興支援、難民支援戦略策定、パレスチナ・ガザ調査に従事。東北大震災では緊急医療支援調整員として参加。その後、アフリカ支援を行う財団法人の経営陣として転職。合併直後の組織改革を率いるものの、組織内対立に頭を悩ます。退職後は、職場におけるコンフリクトマネジメントに対応するため、NVCを集中的に学び、現在はNVC認定候補生としてNVCを教える他、コーチングやメディエーション(調停)を行なっている。グローバルな視点から途上国支援・SDGsアドバイザリーを提供し、「世界平和は一人一人の心の平和から始まる」ことを人々に伝えている。
NVCコミュニケーション研修・オンラインセミナーなど
出張にて法人、大学、団体などに向けて講師いたします。
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