第二次世界大戦中に生まれた両親の元で育ってきた影響から、子供の時から世界平和に貢献したいという気持ちがありました。大学卒業後、女性総合職として就職したもののガラスの天井を感じ、日本企業を飛び出しました。「なぜ人は憎しみあい、争うのか」を探求し、世界平和に貢献する道として難民支援をスタートに、復興支援、開発支援とより予防的なアプローチに関心が移り、最後は人間の一番基礎となる食料安全保障のための農業支援に従事しました。世界を渡り歩き、異なる言語・異文化の環境で仕事をする中で、共通する「人間がどのような生き物か」を理解するようになってきました。人間の安全保障の実現に長年尽力してきた結果、物質的支援では埋められない「心の飢え・恐怖」が人間を抑圧していると認識するようになりました。そして、「世の中から忘れられた人々に希望の光を届ける」ことをミッションとしてきた中で、一番置き去りにしてきたのは真の自分の声と気づくようになりました。退職後、比較宗教学や精神的世界の学びの中でNVC(非暴力コミュニケーション)に出会い、自己共感をできるようになると、自分のニーズにつながって創造力が自然と湧いてくる今までになかった不思議な感覚を覚える様になりました。NVCは「人間が何者であるか」を思い出させてくれます。現在は脳出血で倒れ、半身麻痺・失語症の障害を負った母との会話にも、NVCを生かしてコミュニケーションを図っています。
海外では自由に仕事をすることができたものの、帰国してからは、男性中心の日本組織の中で孤独に陥りました。合併後の組織内対立にも苦労しました。退職後にNVCに出会った時は「大学院でも平和構築の現場でもNVCを聞いたことがなかった。もっと人生の早い段階でNVCに出会っていたかった」と悔しい気持ちで一杯でした。現在NVCは、国連プロジェクトやブラジルの司法制度で活用され、フランスの公立小学校にも試験的に導入されるようになってきています。いじめ、虐待、病気、戦争やトラウマの世代間連鎖の予防として、NVCを通して自分の体と心につながる習慣を身につけるように、日本でも幼児期、できれば妊産婦さんからNVCを学んで欲しいと願っています。
世界の現場と自分がどのようにつながっているかを知りたい方、組織においてSDGsやD&I(ダイバーシティ・インクルージョン)推進を図りたい企業、これから社会にでる前にコンフリクトマネジメントやコミュニケーションを身につけられたい大学生、仲間を求められている女性管理職や対人支援関係者の方々に、より自分にも人にも優しい思いやりの日本社会になるように、お手伝いをさせて頂けると大変幸いです。